こんにちは!肥後庵の黒坂です。
「若者の◯◯離れ」というのはあちこちで聞くようになりました。「車離れ」「結婚離れ」に始まり、最近では「パソコン離れ」というものまで出てきてしまいましたね。あなたはこの「若者の◯◯離れ」についてどう思いますか?
「◯◯離れ」は単に手段が変わっただけ
私はこの「若者の◯◯離れ」というのは真に受けて嘆いてはいけないものだと思っています。
例えば「若者の電話離れ」というものを考えてみましょう。あなたが持っているそのスマホ、「ネットと通話」の使用割合を教えて下さい。どのくらい通話に使用し、どのくらいネットに使っていますか?ちなみに私は
90%…ネット
9%…カメラや動画
1%…通話
という内訳です。昔はかけ放題プランに加入してよく電話をしていたのですが、今ではプライベートで通話はほとんどしなくなってしまいましたね。でも90%のネット利用の中にはLineやメール、SNSで友人とやり取りしている時間はかなりのものです。これは単にコミュニケーションの手段が「通話」→「LineやSNS」に移行しただけです。電話離れといってもその本質は人とのコミュニケーションであり、電話より便利なツールへ移行した、ただそれだけのことです。
これと同じものはたくさんあります。でもなぜか若者の○○離れとは言わないんですよね。フロッピーディスク離れ、カセットテープ離れ、インスタントカメラ離れとか誰もいいませんね?単に手段が変わったものも積極的に「また離れた!!」と騒いでいるだけ、というのが私が「若者の○○離れ」にもっている印象です。
若者の果物離れは本当かもしれない
そして今回取り上げたいのは「若者の果物離れ」というネタです。ちょっと古い記事ですが、4年ほど前に取り上げられたものです。
暑さや紫外線が強まり、果物などでビタミンC補給に努めたい季節がやってくる。だがいま、果物の消費量は、減少傾向にある。とりわけ若い世代を中心に、生鮮果実の消費量が減っているのだ。背景には、世代数の減少による生鮮果実の食べにくさや、酸味離れなどがある。
引用元:NEWSポストセブン 若者の果実離れ加速 個食と甘さ志向による味覚変化も一因か
基本的に「若者の◯◯離れ」についてはかなり懐疑的な目で見ている私ですが、今回の果物離れは珍しく「本物」のようです。うーん、個人的に果物離れはウソであってほしかった(笑)。農林水産省のデータを使って原因を解説していきたいと思います。
全体の消費量は横ばい、食べているのは年配の人
日本人は果物を食べる量が減っている?増えている?という疑問については、「高度成長期に大幅増加したが、近年は横ばい」というのがその答えです。このグラフを見て頂ければ分かるかと思います。
経済の成長期は果物の消費が上昇していることが、グラフを見て分かるでしょうか?これは日本人の所得が増えたことで、食卓にバラエティー豊かな食事が登るようになったために増加したのでしょう。近年は上昇具合が若干横ばいになっています。ですがこれはそんなに歓迎されるべきではありません。人口に締める若者の割合は減っていることを思い出してください。…となると、果物の消費が横ばいだとそれを口にしている人の「年齢層は上がっている」という考えです。つまり、果物を食べる若者の数は減っているわけです。うーん、統計データを見る限り若者の果物離れは本当のようですね…。
果物を食べないのは「意識」と「習慣」が原因
その他のデータを見てみると、果物を週3日以上(つまり2日1日ペース)食べているのは全体で約半分となっています。年齢別に見ると高齢者はよく食べていて、若者は少ないようです。20代の実に40%が「月に3日以下」という状況です。
なぜ高齢者は果物を食べ、若者は食べないのか?それは果物に対する「考え方」と、「習慣の違い」と考えられます。あなたは子供の頃、食卓に果物がよく登っていましたか?「子供の頃からよく食べていたよ!」という人はおそらく大人になった今でも時々買って食べているはずです。「健康のために食べている」という健康志向の人もいるでしょうが、「果物はおいしいから好き」という人も多いでしょう。もしかしたらあなたも「子供の頃から食べていて、好きだから果物を食べている」という人かもしれませんね。これは子供の頃に果物を食べていたので、大人になってもそれが続いているという「習慣」で食べていることでしょう。だって考えてみて下さい。あなたが子供の頃に食べていたものって、大人になった今も食べていますよね?逆に子供の頃に食べていないものは、大人になって食べはじめるものは少ないと思うんですよね。私は子供の頃から柏餅を食べていたので、今でもよく食べます。ですが、ようかんやわらび餅はほぼ食べません。このように私は和菓子については結構極端に食べるものと食べないものが分かれます。なぜかというと、和菓子は子供の頃に食べるものと食べないものが、ハッキリ分かれていたからじゃないかなと思うんですよ。あなたも同じ状況ではありませんか?
そして「意識」の部分もすごく大きいですね。アメリカやヨーロッパの人は果物を「健康」と位置づけており、野菜と同列に考えて日常的に食べている人が多いのに対し、日本人は果物を「デザート」「嗜好品」と見る人が多いと言われています。果物を食べない日本人の若者があげる理由には
「太る」
「高い」
「他に食べるものがある」
といったものがあります。ちなみにこれらの理由は全て果物に対する誤解なのですが、未だに多くの日本人が果物に対しての意識は「嗜好品」というものです。
改善の鍵は「食育」しかない
「若者の果物離れ」についての対策としては「食育」しかないと思います。
果物は生産者の高齢化と、その数が年々減っていることが大きな問題になっています。一度台風が来ると果実が木から落ち、その結果価格高騰してしまうなど、安定した金額で供給し続けることが難しい状況です。まあITの力で果物工場など抜本的な革命が起きれば別ですが、今の時点ではその兆しはありません。さらに農家の後継者もなり手がおらず、泣く泣く畑を手放す農家も少なくありません。
供給する数が減るとどうしても値段が高くなりますからね。そうなるとますます「果物は高い」と敬遠してしまい(品質や栄養素を考えると本当は全然高くないんですけどね)、果物を食べない人が増えるとその子供も当然食べる習慣がない、と負のスパイラルに陥ってしまいます。
じゃあどうすればいいのか?それは私達一人ひとりが果物に対して正しい理解をして、子供に栄養豊富な果物を食べる習慣を作った上げることです。私は30歳を超えた大人になってからどっぷり果物につかる人生になりましたが、本当に果物の持つ力はすごいなあと日々思っています。私ができることは世間一般を取り巻いている果物に対する誤解を取り除くべく、こうして声を上げ続けることです。
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