こんにちは!肥後庵の黒坂です。
5月10日の毎日新聞に掲載された記事を見た時、「なにぃ!!(ガタッ)」と思わず立ち上がり…そうになりました(立ってない)。なんとなんと!さぬき讃フルーツに不知火が新たなラインナップに加わるというのです!!
参考:毎日新聞 不知火を新たに追加、12品目に 旬前後での出荷、県など技術開発 /香川(外部サイトに飛びます)
…といっても、今の説明で意味が分かる人は全体の1%もいないと思うので、優しく解説をさせて下さい(笑)。「さぬき讃フルーツ」というのは、香川が県をあげてブランディングしているフルーツ。いやいや、ちょっと待ってください!香川県といえばあの「うどん県」として長年ネタにされ続けた有名な四国の一県、そんな香川県がうどん以外の…それも果物でブランディングしていこうという話じゃないですか!これはフルーツ王国、熊本県のフルーツギフトでビジネスをしている私は思わず「おおっ!」と唸り声をあげそうになりました(あげてない)。
あなたもいま本当に忙しい時間をお過ごしだとは思うのですが、頑張って分かりやすくお話しをするので私が思ったこと、感じた話を聞いてくれますか?
香川県が果物で本気になった!さぬき讃フルーツの立ち上げ
これまで香川県の特産品に「果物」は含まれていませんでした。
香川県で有名な特産物といえば小豆島のオリーブオイルやそうめん、それからお醤油に讃岐うどんといったもので、麺類にちなんだものばかり。果物は影も形もありません。実際、これまでの香川県は特に抜きん出た果物はあるにはありますが、目立つものではありません。果物ナビの掲載している農林水産省のデータによると、香川県が全国シェアを取っている果物はせいぜい
すだいだい(柑橘) 全国2位
びわ 全国3位
くらいなもので、その他の果物はほとんど他県に圧倒的な差をつけられています(でもそもそもこの2つは、全国的な収穫量が少ないマイナーフルーツです)。
そんな果物らしさのなかった香川県が、ここに来て県をあげて本気でフルーツのブランディングに取り組んでいます!これまで果物ブランディングといえばJAがやっていました。「JAが定めた基準を満たす果物はこういう名前をつけていいよ」という具合です。今回の記事にある「不知火」もJAから出荷される不知火で、糖度13度以上でクエン酸1%以下であれば「デコポン」と名称を使って販売していいことになっています。
しかし、今回のように都道府県が認定した生産者が一定の基準を満たしたものに対して、名称の使用を認めるというのは初めて聞きました(単に私の勉強不足だったらお叱りのコメントをお願いします)。私はこの動きを「香川県が本気で果物でブランディングしていこうとしているな」と感じました。
不動の王者、熊本のデコポンの座が脅かされるか!?
写真は肥後庵のデコポン。おいしそうでしょ!?
不知火(デコポン)という柑橘果物は元々熊本県の不知火町で生まれました。いまや全国各地で生産されていますが、先ほどいった通りJAから出荷されたもので、一定の基準を満たす不知火だけをデコポンと名乗っています。それ以外は基本的にみんな不知火なのですが、名前にかわいさを持たせるために「デコみかん」「ひめぽん」「ポンダリン」とつけているところもあります。
でもやっぱり知名度はデコポンが圧倒的ですね。2017年5月15日にGoogleで検索してみたところ、次のような結果になっています。
デコポン…約2,020,000 件
不知火 果物…約 202,000 件
デコみかん…約 404,000 件
ひめぽん…約 510,000 件
ポンダリン…約 1,550 件
「不知火 果物」としているのは、「不知火」で検索すると妖怪とか、アニメやゲームまで拾ってしまって1,500万件を超えてしまったためです。…さあ、どうでしょうか?これを見ると「デコポン」は品種名の「不知火」を超える知名度を誇っていますよね!
香川県はこの不知火に、オリジナルのブランド名称をつけようとしているわけです。気になるその名称は現時点ではまだ明らかにされておらず、単に「これから香川県は不知火をブランディングしていくからよろしく!」という表明をしたに留まっています。個人的なイメージでは「デコさぬき」とか「さぬきポン」みたいになるのかも!?と勝手に予想しています。
「ネーミングセンスないなあ。そんなのありえねー」と思われたでしょうか?ちなみにこれまでさぬき讃フルーツはキウイフルーツに「さぬきエンジェルスイート」とか「さぬきキウイっこ」、いちごに「さぬきひめ」といった名称をつけていますので、不知火も同じような名称が来るかなー!?と思っています。
お隣の愛媛は柑橘果物の王座、香川に出来ないことはない
果物のブランディングって一にも二にも「味」なんですよね。
静岡県袋井市で作られるマスクメロンは「クラウンメロン」とされ、都心の高級百貨店で1玉数万円という値段がつきます。福岡のあまおうも他のいちごに比べると値段は高く設定されています。熊本県のデコポンも同じで「不知火」「デコみかん」といった名称に比べると、値段は高めに設定されています。
果物がブランドになるのは「品質」が確かだからなんですよね。他よりも品質がいいからファンが付き、それがブランドになるわけです。これまで香川県は麺類の印象が強く、実際に特産物は麺類にちなんだものが多かったのですが、私は香川県はフルーツの栽培にも適していると思うんですよね。
というのもすぐお隣の愛媛県を見て下さい。こちらは清見、いよかん、ポンカンを始めとした柑橘果物は軒並み収穫量の全国ランキングは一位です。みかんといえば和歌山県のイメージもありますが、愛媛県も多種多様な柑橘果物で数多くの1位を取っている紛れもない「柑橘の王者」。それには気温や日照時間、降水量など地形上の特性も味方をしているでしょうが、江戸時代から続く長い歴史が今の愛媛県を柑橘の王者の地位に押し上げています。
これから香川県がデコポンに対抗できるような不知火のブランディングに成功するのか?それはまだ分かりません。ですが、本気を出した香川県が「うどん県」のイメージを払拭し、全国に名を馳せるフルーツ王国になる日は本当にやってくるのかもしれません。これからの香川県のフルーツブランディングから目が離せませんね!
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