久しぶりに怒りと悲しみの入り交じる感情に包まれる体験をしました。
富良野メロン農家の寺坂農園に除草剤が撒かれて、6600玉の富良野メロンが全滅したとのことです。
代表の寺坂祐一さんは8月3日、枯れてしまった収穫前のメロンの写真をTwitter上に投稿。「約6600玉のメロンが全滅して収穫不能。科学的な調査の結果、メロン畑に除草剤が撒かれていたことが判明しました」と、何者かにメロンを台無しにされたことを明らかにした。さらに「悪質な行為により、お客様にもご迷惑をおかけします」と憤りを記した。
この事件についてのあらましは色んなサイトで語られていますのでおまかせするとして、私が感じたことをお話しさせて頂きたいと思います。
犯人はおそらく農業関係者
今回の事件を見て、私は犯人は素人の愉快犯ではなく農業のことをよく知っている農業関係者と見ています。
寺坂農園のメロンを台無しにするための行動が尋常ではありません。
9棟の全自動換気装置の設定が狂っていた。
8棟の換気装置のブレーカーがオフで機能停止。
2箇所ある給水栓が半開きで農業用水が垂れ流し状態。
6棟に除草剤の散布。
全自動換気装置をいじる、ブレーカーを落とす、農業用水を垂れ流しにする、除草剤を散布する…。これは単なる偶然や落ち度によるものではなく、悪意の塊の行為によるものです。私も農業ビジネスに携わっており、いくつものメロンを契約農家さんから仕入れをしているので分かるのですが、メロンは本当に手間暇をかけてつくっています。温度変化や、日のあたり具合、肥料など人間の赤ちゃんを育てるようにお世話をすることでようやく美しく、おいしいメロンが出来上がるフルーツです。
それをダメにするためにこれだけの攻撃を短時間で行う…寺坂農園さんが「悪魔の仕業」といっているようにまともな人間のやることではありません。農業に詳しい人間だからこそ、メロンに大ダメージを与える術を連続でアタックしています。私はおそらく農業に詳しい人間の犯行と見ています。もしかしたら同じメロン生産者なのかもしれません。だとしたらまさに「悪魔」としかいいようがありません。
あまりにも無防備な農家
農家って防衛が難しい商売なんですよ。
自然災害になされるままですし、今回のような悪意ある行為の前にはあまりにも無防備です。時々、新聞に果物の盗難やいたずらを防止するためにパトロールをしているという記事が載っていますが、それでも広大な畑やいくつものハウスに侵入を100%防ぐことはできません。オフィスビルは入り口は一つに限定して、ガードマンや入退出を記録することができますが、農業はそれが出来ません。侵入者に本気を出されたらいくら防衛しようと思っていても防ぎきれません。
セキュリティレベルの高いオフィスビルに侵入しようとして逮捕される人は多くありませんが、農家が盗難やいたずらの被害にあっている記事は度々目にしますし、知り合いの農家さんが被害にあいました。防衛力のない農家に攻撃を仕掛ける、これはいうなれば無抵抗のお年寄りや赤ちゃんに攻撃を仕掛けるのと同じだと思っています。そう聞けばあなたもどれだけ卑劣な犯罪行為なのか?ということがお分かり頂けるでしょうか?
私は今回の事件を目にした時に、あまりの感情の高ぶりに記事を書く気になれませんでした。寺坂農園さんの心情を思うとあまりにも辛く、憤りと悲しみを感じる事件です。
残念ながら犯人の意図とは逆の結果になる
多くの人が見ている通り、犯人は年商1億円超えの「成功農家・寺坂農園」に嫉妬して犯行に及んだのでしょう。というのも、寺坂農園に攻撃を仕掛けて経済的メリットを享受できる人は誰もいないからです。寺坂農園さんはもちろん、取引先、お客さまなどあらゆる関係者に迷惑をかけることになっていますが、この件で得をする人はいません。
「ライバル業者ならそちらにお客さまが流れるのでは?」
と思うかもしれませんが、寺坂農園さんからメロンを買っているお客さまは
「寺坂農園さんのメロン」
が欲しくて買っているわけで、同じ品種のメロンなら誰が売っているものでもいい、というわけではないでしょう。当店でも熱烈なファンのお客さまは、当店から買い物をしてくださいます。
こうしたことから、犯人は寺坂農園さんへの嫉妬心から邪魔をしたくて犯行に及んだのでしょう。犯人はこれを読んではいないでしょうが、私は犯人にとって残念なお話をしなければいけません。何かというと、この件で寺坂農園さんはこれからますますファンとのつながりを深め、更なる売上を作ることになるからです。
確かに今期は出荷できるメロンは少なくなってしまったかもしれません。6600玉、というのは凄まじい数です。ですが、今回撒かれた除草剤は土には影響がないため、今期のメロンはダメになっても来期はまた新鮮でおいしいメロンを作ることができるわけです。一番恐れるべき風評被害のダメージはありません。そうなると多くの人が寺坂農園さんを応援するため、メロンを買うわけです。
「応援したい!」
という人の気持ちはすごいものです。それは昨年、熊本地震で凄まじい数の注文が殺到した経験から私には分かります。おそらく、来期には寺坂農園さんの元へたくさんのメロンの注文が来ることでしょう。
「寺坂農園さんを邪魔したい!」
と思って攻撃を仕掛けた犯人が望んでいるのと真逆の結果になることでしょう。
最後になりますが…これからは社会に求められる人や企業しか残ることは出来ません。事件の結末を待つまでもなく、反社会的な行為をした犯人は然るべき裁きを受け、社会に求められるメロンを作る寺坂農園さんは多くの人に応援される未来が待っていることは明らかです。他人のじゃまをする時間があるなら、社会に求められるビジネスや商品を磨くことをしてほしいものです。
最後になりますが…これからは社会に求められる人や企業しか残ることは出来ません。
「求められない人はどうすればいいんですか?頑張っても求められない人もいます。残れないとは、生きてる価値無しということですか?これからはって、いつからですか?世の中何が変わったのですか?成功者の立場から見下した言い方やめませんか?
コメントありがとうございます!返事が遅れて申し訳ありません。
>求められない人はどうすればいいんですか?
ということですが世の中、すべての人は誰かに求められています。赤ちゃんでも、子供でも、大人でも、お年寄りでも必ず誰かがその人を大切に想っています。私がいっている「社内に求められない」というのは反社会的行為を指していっています。今回の件で言えば犯人の非道な行為がそれに当たるわけです。一生懸命育てたメロンに除草剤を撒かれて誰が喜ぶでしょうか?誰も喜びません。そういう行為や思想について「世の中に求められない」といっているのであって、特性の人を指して「必要・不要」といっているわけではありません。
参考になれば幸いです。
黒坂 岳央