こんにちは!肥後庵の黒坂です。
想いのこもった言葉には魂が宿る、このような話をするとあなたはどう感じるでしょうか?
「おいおい、この男ついに宗教家みたいなことを言い始めたぞ!」
「分かるわそれ。自分もそう思う」
と人によってかなり意見が異なるのではないかと思います。今回はそんな言葉についての話をしたいと思います。
言葉には重量がある~熱海旅行で出会った軽い言葉と重い言葉
同じ言葉でも軽い言葉と重い言葉があります。軽い言葉というのは言葉通り軽いもの。投げかけられても紙風船のようにふんわりと漂い、風に流される頼りないもの。いわれた方も意に介すことはありません。
さて、私は今年の年初に熱海へ旅行に出かけました。駅前の商店街へ行くとたくさんの出店があってとても賑わっています。「せっかく温泉の都に来たのだから温泉まんじゅうを食べて帰りたい!」そう思った私はお店を見て回っていました。いい匂いが漂い、声をかけられます。「おいしいよ~!どうぞ~!」といわれて、軽く一瞥するのですがよしこれを買って帰ろう!という気持ちにはなりませんでした。
ところが、次の瞬間私は背後から聞こえてくる声に振り返り、磁石のS極とN極を近づけたときのようにスーッと吸い寄せられるようにそのお店に入ってしまいました。
「本っ当においしい饅頭ですよ~!」
といわれたのです。思わず手に取り、買ってしまいました。私がそのお店で温泉まんじゅうを買うことを決めたのは値段でも、お店の雰囲気でも、味でもありません。「本っ当に」と気持ちがこもった言葉にズキュンと胸に刺さってしまったからです。おそらく声を出していた売り子は本当に、心からその温泉まんじゅうがおいしいと思っていたのだと思います。あんなにおいしいという感情を絞り出した「本っ当に」という言葉は聞いたことがありませんでした。
その他大勢のお店から「おいしいよ~!」といわれても私はまったく気に留めませんでしたが、「本っ当に」と言葉に気持ちが乗った瞬間、それまで特に気に留めない凡庸な饅頭が突然輝きを放ち、とうとう私の手に取らせたという出来事でした。同じ「おいしい」といっても本当に心からそう思うことで言葉はずしりと重さを増し、聞いた人の心に留まるのだと思った体験でした。
人生はたった一言で一変する
重い言葉、というのは時に人の人生を変えてしまうほどの力を持っているんですよ。あなたもこれまでの人生を振り返ってみてくださいよ。人生の分岐点がありましたよね?その分岐点で選択を迫られた時に背中を押された一言がなかったでしょうか?もしくはこれまで考えもしなかったような事をいわれて頭をガツン!と殴られたような衝撃を体験したことがありませんか?
私は何度もあります。特に大きく人生が変わったのは大学進学を決意した時ですね。23歳まで高卒フリーターでフラフラしていた私は日々をモヤモヤと考えて生活をしていました。世間ではもう大学を卒業して社会人になっている年齢なのに、私は派遣で日銭を稼ぎながら「大学へいって人生をやり直したい」と悶々と考えていました。
そのことを周囲の人間に話すと全否定ですよ。「23にもなってフリーターなんてダメだ!いい加減どこかの会社に就職しろ!大学?今から行って卒業する頃に就職できると思っているのか?」といわれて心をベキベキにへし折られていました。貯金もない、両親も資金援助はなし。大学でこれといって学びたいことも決まっていない。それでも「もう一度…もう一度人生をやり直すつもりで挑戦したい」と私は思っていました。
ある休みの日、私は古本市場へいきました。そしてなんにも考えずに手に取った一冊の本が105円(その頃は消費税5%でした)で売られていたので家に帰って読みました。本を開き、「大学の効用」という章を読んだ私は人生最大の衝撃を受けます。これまで「大学に行ってみたい!」と周囲にいって「今更遅い」とか「大学行って何するの?」という事に一切答えられなかった私でした。そんな私に「大学へ進学する意味」をこれ以上なく理解させてくれました。
大学に行くのはストックとしての知識のため
その本には大学へ行く意味をこのように書いていました。
仕事で使う知識やノウハウは現場で身につけることができる。専門の教育を受けた人より現場で長く働いて経験を積んでいるビジネスマンは先端の知識やノウハウを驚くほど身につけ、活躍している。これをフローの知識という。だが、いくら先端の事を知っていたとしてもアカデミックな知識や教養がないとそれが正しいかどうかを判断することはできない。しかし、体系化された知識「ストック」を持つことでフローの情報が正しいかどうかを判断する力を身につけることができるのだ。大学とはそんなストックを学びに行くところだ。
私はこの一文で完全に人生が変わりましたね。それまでは英会話スクールにいっても2-3回通ったら面倒で行くのを止めてしまったり、参考書を買いに行こうと朝一番に思いついても家でゴロゴロして気がついたら日曜日の夜になっていた、というくらいものぐさで何もできなかった私でしたが、そこから派遣の仕事をしながら毎日猛勉強をしました。平日も眠気に耐えながら夜中まで勉強をして、土日は朝5時から起きて17時間くらいやっていましたね。結果的に独学で私立大学に入ることができ、その後はアメリカの大学へ留学して会計学を学びました。卒業後はいくつかの外資系企業で会計知識を活かしてグローバルプロジェクトや経営企画の仕事をして、その後ネットショップ肥後庵を起業しました。
あの時、あの言葉に出会っていなければ今の私は存在しません。これ以上ない言葉の重みを実感した体験でしたね。
想いを込めた言葉には魂が宿る
大学に入った後や就職、起業のときにも色んなことがありました。ですが人生を変えたのは紛れもなく、あの一冊の本に書かれたあの一文でした。当時の私が持っていた「人生ってなんかつまらないな。こうしてダラダラ生きて一生終わってしまうのかな」という世界観を完全に破壊し、燃え上がる情熱でここまでやってきました。
あの本の一文には間違いなく魂が込められています。筆者も相当な熱を込めた人生を送っていたからこそ、あの一文を書くことが出来たのだと思います。
想いを込めた言葉には魂が宿ります。あなたにもきっと人生を変えてしまうようなスゴイ言葉との出会いがあったと思います。ぜひ言葉を大切にして下さい。日頃発している言葉、受け取る言葉、そこにどんな想いが込められているのかを意識するようにしてみて下さい。
コメントを残す