こんにちは!肥後庵の黒坂です。
あなたは塩トマトをご存知でしょうか?「ああ、知ってるよ。トマトに塩かけるんでしょ?」と思ったら間違い、それは単なる「塩をかけたトマト」です!「ああ、知ってる知ってる!フルーツみたいに甘いってやつでしょ?」ブブー、それはフルーツトマトです(笑)。
実は塩トマトというのは希少性の高い贈答用の高級トマトのこと。「トマトに希少性も何もあったもんじゃないでしょ?それって業者が高く売るためにプレミアム感を出そうとしているマーケティングじゃないの~?」と思ったあなた、その感覚非常によく理解できます。私もはじめて塩トマトの事を聞いた時に同じことを思いましたからね!
でもね、この塩トマトは本当に希少性が高いレア物で、なおかつとってもおいしいトマトです。まだまだ知られていない方もたくさんおられるので、今回キッチリとご紹介したいと思います!
ネーミングで誤解を招く、本当は甘い甘~い塩トマト
私は塩トマト、というネーミングがちょっとおしいなあ!といつも思っています。冒頭に紹介したみたいにトマトに塩をかけて食べるスタイルや、しょっぱくておいしくないトマトを連想される方を産んでしまうのではないかと思うわけです。そんなネーミングで誤解を産んでいる塩トマト、実はとっても甘いトマトです!同じく、甘いトマトにはフルーツトマトがありますがまた全然違った甘さがあります。
フルーツトマトって栽培時にできるだけ水を与えないようにして、トマトがもともと持っている糖度を更に引き上げるように作っているんですが、塩トマトの場合は海水などのミネラルがたっぷり詰まっていて濃厚な甘みはそこから来ています!スイカに塩を振って食べると甘さが増すのですが、それと同じように天然の甘味料が詰まっているのが塩トマト、ということで考えてください!
熊本県八代地域限定栽培の希少性の高い塩トマト!
熊本県というとほとんどの人が熊本市や阿蘇といった観光地を連想しますが、実は八代市という熊本県第2の都市があります。昔からこの八代市ではトマトの栽培が盛んだったのですが、八代市の海岸の土壌は塩分濃度が高く、ここでトマトを栽培すると十分に水分が吸い上げられず小ぶりのできになったそうです。市場では「大きさ=値段」なので当初は塩トマトが売り物にならない規格外品という扱いで地元だけで消費していました。
ところがこの小ぶりの塩トマト、海水のミネラルを豊富に溜め込んだ甘い甘いトマトで「これ小さいけどめちゃめちゃおいしいじゃない!」と地元熊本で人気に火が付き、高級贈答トマトとしてブランド化を果たすことになりました。元々ダメっ子と思って食べていたらおいしくて人気になった、というとそのおいしさは本物だと思いませんか??
一時期は規格外品として安値でたたき売りされていたり、廃棄されていた塩トマトは全国屈指のフルーツ大国、熊本人の舌によって新たなグルメとして食べられるようになったわけです。
脚光を浴びるようになったのは東日本大震災
そうは言っても塩トマトはまだまだ全国的な知名度はありません(泣)。やっぱり圧倒的なフルーツトマトの存在感に押され、「塩」という名前に魅力がないためか手にとって口に入れてもらう事はあまりありませんでした。「君は食べてみたら本当においしいトマト君なのになあ…。こんなに魅力あふれるトマトが熊本の片隅でひっそりと輝いているなんてもったいないね」という気持ちでいた私でしたが、実は近年突然脚光を浴びる事になりました。それは3.11、あの東日本大震災です。余談ですが私はあの日、オフィスで仕事をしていました。震災が来た時にはデスクトップPCが中を飛び、肉厚の木製デスクを叩き割った時には変な笑いが出てしまいました。人間、追い詰められると笑ってしまうっていう話、あれ本当みたいですよ!
さて、東日本大震災では津波で多くの畑が海水で浸水し、塩害を受けました。畑が塩で浸かってしまう事でそれまで栽培していた農作物がダメになってしまったわけです。ところが塩分濃度の高い畑でもぐんぐん育つ塩トマトはここで大活躍!それまで熊本の八代地域だけで育っていましたが、宮城県の岩沼という地域で塩トマトの苗が植えられました!「ダメになった畑でトマトを栽培?うそ!?」という驚きでマスコミも取り上げ、その結果熊本の塩トマトに興味を持った多くの人の口に入ることになりました。
震災で塩に浸かった畑に塩トマトの苗を植える人たち。元気よく育て~!と思わずお祈り
写真引用:朝日新聞 「塩トマト」で塩害農地の復興目指す 宮城・岩沼
いかがでしょうか?知名度はまだまだありませんし、名前も誤解を招いてしまう塩トマトはあまり知られていないだけでとても魅力的なポイントがあります!未体験の方にこそおすすめしたい塩トマトです!
<参考リンク>
塩トマトの栽培法へのこだわり、特徴などの情報が満載です。ぜひご参考下さい。
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