こんにちは!肥後庵の黒坂です。
「数字+K」という略称には色んなものがありますよね?
婚活の3K=高学歴・高身長・高収入
職場の3K=きつい、危険、きたない/給料安い(バリエーションが豊富)
女性の3K=きつさ、気配り、きれい4K・8K=超高画質解像度
ザッと思いつくだけでもこれだけありました。
そしてこちらは先日まで知らなかったのですが、農業、工事現場、介護といった職業は「6K」と言われる不名誉な略称がつけられているようです。
農業の6K=きつい、危険、きたない & 臭い、かっこ悪い、結婚できない
とのこと。おいおいおい、さすがに言いたい放題じゃないですか(おこですよ!)職業に貴賎はない、なんて言われていますがそんな言葉が出てこないといけないくらい、みんな内心では
「ふんっ、汚い仕事しやがって」
みたいなことをみんな思っているんですね…。
あ、これ余談ですが、私がアメリカに留学中、トイレ掃除をしている人に向かって「Dirty Job(汚ねえ仕事だ)」とつぶやいた人がいて度肝を抜かれたことがあります。そんなこといって訴えられたらどうするんだ…。
みんな内心では思ってる。「農業はイケてない」って
みんな農業に従事している人に、口ではきれいなことをいったりしているんですよね。
「自然を相手にして素晴らしい」
「農作物を作ってくれる人のおかげで食事ができる」
そんな事を言っていますが、その実内心では思っているのだと思います。
「農業はぶっちゃけいけてない」
って。はい、認めましょう。私も昔はそう思っていました。米国の大学で会計学を学び、売上高1兆円・社員数2万人を超え、フロアの半分くらいが外国人社員がいる大手外資系企業で、数年間働いていた頃の私はそう思っていました。
東京で働いている人間にとって遠すぎる世界なんですよね、農業は。
「ドロや汗にまみれる仕事」
「給料安いから結婚できない」
「どんなにきつくても一生働き続けないといけない」
そんなイメージが強烈にあると思うんですよ。まあ私がそう思っていましたからね。エアコンの効いた部屋でやれPDCAサイクルだの、Operational Excellenceだの、SWOT分析だのそういう横文字を会議室で話し合う方がエリートな雰囲気があって、給料が良くて、カッコイイって思っていました。
農業で夢敗れる若者
時々見るんですよね。「農業に挑戦し、気持ちいい汗をかく若者!」みたいな記事特集。あなたも絶対に一度は見たことがあると思います。でもみんな挑戦した後、すぐに帰ってきてしまうようです。
実は私の親類と友人に農業体験として北海道とニュージーランドへいって農業に挑戦した方が二人います。二人共若い女性です。Facebookを見ると青空のもと、大きな畑や水田で写真を撮っていたりしてなんだか充実していそうに見えました。私もそれをみて「おお、農業を堪能しているようで何よりだ」と思っていました。
でも二人共数ヶ月したら地元に戻ってきました。
「そろそろまじめに仕事をしないと年齢的にヤバイ」
みたいな事をいいながら。私はてっきりずっと農業でやっていくものだと思っていたのですが、途中で考えが変わる何かがあったようです。彼女たちはめちゃめちゃ真面目に農業をやっていたはずだったのですが、得られる収入が真面目に働いているとは思えないほど低いもので、男性との出会いの機会もなかったからでしょう。
「なんだ、黒坂は色々いってるけどやっぱり農業いけてないじゃん」
と、あなたも今考えたはずです。
「農業なんて汗水たらして頑張っても安く買い叩かれて終わり。天候や災害にも左右されるし、会社員をやっていたほうが賢い選択肢だ」
と。農業ってやっぱりいけてないんでしょうか?
いえいえいえ!そんなことはありません。本当は違います。農業に携わるビジネスは決して、農作物を育てる以外にもたくさんあります。私も今ではフルーツギフトビジネスをしており、農業に超密接に関わる仕事に従事していますしね!農業って夢とイノベーションの可能性に溢れた職業で、やり方次第ではあなたが思うより意外と稼げるものです。農業の良い面について、詳しくは次回の記事でお話をしますが、今回は農業の置かれているおかしな状況についてお話をさせてくださいね!
数字や論理より、経験とカン
「農業」はどこかビジネスから遠くにあるもののように思っていませんか?まあ確かにそのように思えてしまう要素はあるでしょう。天候や災害といった自然を相手にするもので、生産者は基本的に家族だけで土を耕すところから、栽培し、収穫して市場に収めるところまでを完結します。当店、肥後庵のバイヤーも元々は26年間スイカの生産者をやっていましたが、自身と奥さんの二人だけでずっとスイカを作り続けていました。
農業は職人の世界に似ています。一般企業のように引継書などはありません。経験、カンで栽培している人が多く、栽培する上で不可欠な二酸化炭素濃度や肥料の分量などをいちいち数値で計測して分析している人はあまり多くありません。
「このくらいで育てるとおいしくなる」
「お日さまの様子を見ながらこんな感じで判断する」
といった「感覚」で育てている人が多いわけです。ビジネスって数字や論理がコミュニケーションツールじゃないですか?農業も本来は同じはずなのですが、従事している人はそうでないことが多いです。
ビジネスマインドがないと稼げない
でもそれでダメかというとそうではありません。めちゃめちゃおいしいメロンやスイカを作ってしまいます。私が話しを聞いても理屈では理解できないことでも、結果としてはしっかりおいしく仕上がるんですよね。
当店でも契約農家や市場から仕入れをしていますが、高級フルーツギフトを取り扱っているので、同じメロンやスイカでもできるだけ腕のいい方から仕入れをしています。自分が仕入れる時には質がいいフルーツを一般流通するものより高い値段で仕入れさせてもらっていますが、そこの金額差にむとんちゃくな方が多いのです。最近は少し変わってきていますが、
「買ってくれるならいくらでもいい。かわいがって作ったものを喜んで買ってくれる人がいればそれでいい」
という具合なので驚かされます。話を聞いていて気の毒になってしまうくらい、自分たちのフルーツを安く売っているんですよ。あなたの近所のスーパーにもそれなりの値段がするフルーツがあるじゃないですか?あれは仕入れる業者やルートによっては、ものすごく安く仕入れられていることが多いです。
「安く仕入れたものを付加価値をつけて高く売る」
これがビジネスですので、おかしなことではないのですが、農家の方が金額にあまり頓着しないのをいいことに、「搾取」という言葉がチラついてしまうほどの買い叩きが起きているのが問題なわけです。
「いいものを高く売る」
これが本来の資本主義の原理原則のはずなのですが、農業については投入した手間や持っている技術や経験に見合わない安さで売られていき、仕入れたものを高値で売るということが平然と行われています。
私はこの原因はビジネスマインドのない農業が多いからだと思っています。本来であれば高品質のものを作れる技術力や知識があれば、それを高値で販売するべきです。労働市場でも高スキル、経験を持っている人材は高年収がつけられます。あたり前のことじゃないですか?でも農業はいくら素晴らしい出来栄えのフルーツを作っても、安く買われて高く売られるというビジネスの原理が機能していない部分があります。これは
「搾取」
って読んでも差し支えないと思います。
みんなの幸せには「Total-win」の発想が必要
現在の農業は農家から安く買った業者が、高値で消費者に販売をするという図式が成り立っています。もちろん、これが全てではありません。先ほどお話した通り、肥後庵では高級フルーツとして高品質フルーツを販売しているので、仕入れる果物もきちんと品質に見合った金額をお渡ししています。
私が思う理想的な農業には「農家」「販売業者」「消費者」の3者全員が幸せになれる「Total-Win」の関係が不可欠だと思っています。それには農業にもっとビジネス要素を取り入れ、ITによる栽培を促進するなど色々な手段があります。
いつの時代も世の中を変えるのは「若者・よそ者・バカ者」といいますが、そのためには現状の農業に誰かがメスを入れて、夢を持たせることが必要だと私は思うわけです。
すいません、農業の問題点や課題を語ってしまったので
「やっぱり農業はいけてない」
と思われたかもしれませんね。でも実はやり方によっては、夢に溢れた職業だという話をしたいと思います。ぜひ見てみてください。
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