こんにちは!肥後庵の黒坂です。
「大きいことはいいことだ」という言葉は1960年代の流行語です。それから50年が経ち、時代は2016年が終わり、2020年も後3年を残すこととなりました。情報化社会を生きる私が50年も前のこの言葉に全然古臭さを感じないのは、なんとなく理解できる気がします。周囲を見てみるとテレビ、スマホはどんどん大画面化し、食洗機や車も大きい方が上位機種とされていることがほとんど。なにか商品が出てきたらその後高性能化を続けながら小さくなっていき、その後また大きくなる、というサイクルがある気がしますね。携帯電話とかまさにその典型です。一時期はフリスクと同じサイズの世界最小携帯が出てきた時には「一体、どこまで小さくなるんだよ」と思っていましたが、その後スマホの登場でぐんぐんサイズがでかくなっていっています。おそらく、本質的に人は大きいものを求める、そんな気がします。
2013年に騒ぎになったフリスクサイズのPHS。さすがに街では見かけなくなりました。
写真引用元:CNET ウィルコム、フリスクサイズの「ストラップフォン2」を3月21日発売
野菜は大きい方が良さそうだが…
こと野菜は大きいほど可食部分が増すので「大きい野菜はいい」とされています。確かにお上品に大きさ控えめでこぎれいなものより、形がボコボコしていてもなんだか自然の中でのびのび育った感じがして良さそうです。しかし、未だに野菜か果物かで論争が続くトマトについていえば小型化が進んでいます。おいしいトマト、高級なトマトほど「小型」です。ですので私はトマト界に「小さいことはいいことだ」という表現が当てはまるのではないかと思っています。
品質を求めるとどうしても小型化する
高品質、高級、贈答用のトマトといえばフルーツトマトや塩トマトです。この2つのトマトは手を加えずに自然に任せて育てば普通サイズに育ちます。それが手間ひまをかけることで小さくなる、つまりより高品質のものを作ろうとするとどうしても小粒のトマトになってしまうということです。決して出し惜しみしているわけではないんです!
その理由はトマトの作り方にあります。フルーツトマト、塩トマトの魅力はなんといってもフルーツ感のある「甘さ」です。甘さを出す秘訣はズバリ、水やりにあります。トマトにほしいだけ水をあげるのではなく、あえて与える水を制限するのです。トマトにとって水不足は大問題!水が不足したトマトは果実を太く、大きくするより栄養分を溜め込もうとします。その結果、熟して食べごろになったタイミングでもトマトの果実は小さいままになるわけです。これがトマト小型化の真相です!小粒の代わりに味は濃厚で甘さもぎゅーっと詰まっているので食べた時の舌先に感じられる甘さが強いわけです。
サッと洗ってポイと口に放り込めるお手軽さ
大きな果物は食べるまでに工程が必要です。例えば大玉スイカ!5kg以上ある大きなスイカをえっちらおっちらと担いで帰り、冷蔵庫の空いたスペースを確保し、冷やしてからまな板の上に乗せてよいしょっ!と包丁を入れます。半分にカットしてもそのままでは大きすぎるので4分の1、8分の1とどんどんカットし、お皿に乗せてやっと食べることができます。
ところが小粒の塩トマト、フルーツトマトはその点超簡単!買ってきたらサッと水で洗ってそのままお口に放り込むだけです。「水で洗う→食べる」という包丁すら必要のないこのお手軽さは忙しい現代人にはとっても魅力的だと思いませんか?これがノーマルのトマトだと洗った後包丁でカットしないとそのままガブッといくには大きすぎますからね!
贈答用に向いた高級感がある
贈答用に向く果物には条件があります。見た目がきれいで、味はおいしく、粒が揃っているなどそれはどれか一つだけ満たせばいいものではなく、あらゆる条件を全部満たす必要があるわけです。
例えば宝石を考えてみて下さい。リングにいくつかついているダイヤモンドの大きさがそれぞれバラバラだったらそれだけで一気に高級感がなくなりますよね?また、傷がついているともうゲンナリ…という具合に宝石も高級感があるものには同じような条件があるのがお分かり頂けますよね?
さて、お話を贈答用の高級トマトに戻しましょう。きれいな箱に粒の揃った傷のないツヤツヤと輝くトマトが届いたと想像して下さい。それは受け取る人にとって驚きの体験になります。その時のトマトが1個1個ドンドンっ!と迫力ある大型だとちょっと高級感がありません。やっぱりそこは小粒で大きさの揃ったものだからこそ、美しく愛おしく、高級感があるなあと感じられるものなんです。
いかがでしょうか?トマトの世界では「小さいことはいいことだ」というのが最適なコピーだと思っています。ぜひ贈り物選びの参考にしてみてください。
<参考リンク>
フルーツトマトの栽培法へのこだわり、特徴などの情報が満載です。ぜひご参考下さい。
コメントを残す